環境調査の概要
現在の調査
現在、モニタリングを継続し、汚染範囲の把握に努めています。
地下水汚染シミュレーション等報告書
詳細な地下水汚染シミュレーションなどにより、さらに汚染構造の解明調査をすすめて、平成19年6月25日に報告書をまとめました。
調査結果について
- A井戸詳細地下水汚染シミュレーションの結果、A井戸南東90メートル地点で発見されたコンクリート様の塊がA井戸の汚染源となり得ることが再現されました。また、予測解析の結果、A井戸周辺の地下水中の有機ヒ素化合物濃度は、約60年後に0.01mg-As/L程度未満になる結果となりました。
- ABトラック広域地下水汚染シミュレーションの結果、コンクリート様の塊がB地区、ABトラック南西地域の深層部の地下水汚染の汚染源であることが示唆されました。
- B地区詳細地下水汚染シミュレーションの結果、B地区の浅層部の汚染は、過去に農業用井戸の揚水及び涵養などの水利用がなされたことが影響しており、コンクリート様の塊がB地区全体の地下水汚染源になりうることが示唆されました。
- これまでの地下水モニタリング及び地下水汚染シミュレーションの結果を踏まえると、B地区等には別の汚染源が存在する可能性は低く、平成5年6月以降に投入されたと推定されるコンクリート様の塊が地域全体の地下水汚染源である可能性が高まりました。
- 旧軍関連施設及び旧軍毒ガス兵器等に関する情報収集調査の結果を踏まえると、有機ヒ素化合物は神栖市内にかつて存在していた旧軍関連施設において製造・保有されていたものではない。
報告書の詳細は環境省の「旧軍毒ガス弾等の対策について」2.報告書等をご参照ください。
汚染土壌等の処理
概要
平成16年12月から開始された汚染源堀削調査で発生し、現在の保管テント内に保管されている汚染土壌等(コンクリート様の塊と木くず等含む)約2,100トンと有機ヒ素に汚染された米約14トンを鹿島共同再資源化センター(神栖市東和田)で焼却処理を計画しています。これは、汚染土壌等を、同センターが通常受け入れている廃棄物と混ぜて燃焼させることによって、有機ヒ素化合物を無機ヒ素、水、二酸化炭素に分解して処理をするというものです。
専門家によると検討委員会では同センターにおける焼却処理が技術的に可能であると判断し、最終的な確認・評価をおこなうために同センターでの確認試験をおこないました。
確認試験結果について
- 混焼率を3~4%で実施した結果、焼却炉の燃焼温度にほとんど影響を与えることはありませんでした。
- 煙突からの排ガスにヒ素は検出されず、排ガス処理装置で確実に捕集されていました。
- 灰に残留したヒ素から有機ヒ素は検出されず、無機化されたことが確認されました。また、灰からのヒ素溶出試験でも1リットルあたり0.005ミリグラム以下で埋立基準値の1リットルあたり0.3ミリグラムを大きく下回りました。
この結果、廃棄物と混焼する汚染土壌等の割合(混焼率)と燃焼温度を適切に管理すれば、同センターにおいて安全に焼却処理することは技術的に可能であると判断されました。
今後は作業中の安全確保を十分に図りながら、汚染土壌等の本格処理に向けて土壌等の密閉容器への詰め替え、新規保管テントの設置等の準備を進めていくことになりました。
汚染メカニズム解明のための調査中間報告書 追補版
平成17年9月、中間報告書の発表以降に追加調査をおこなった結果を追補版として作成しました。矢板の西側を追加堀削した結果、新たに2つのコンクリート様の塊が発見されました。これにより汚染源と見られるコンクリート様の塊の総量は約87トンとなり、混入されたジフェニルアルシン酸の量は約290キログラム程度になりました。
追補版の詳細は環境省の「旧軍毒ガス弾等の対策について」をご参照ください。
A井戸周辺の汚染源掘削調査(平成16年8月~平成18年3月)
調査目的
- A井戸周辺の高濃度のジフェニルアルシン酸が検出された付近の汚染源の確認。
- 汚染メカニズムの解明に役立つ地層、土質把握などの情報の収集。
調査内容
- 非常に高い濃度のジフェニルアルシン酸がでたボーリングを中心として24×12メートルの掘削範囲の、範囲内の地下水位よりも上部(深さ4メートル)を掘削をおこないます。
- 深さ1メートルごとに磁気探査やガス検知を行い、安全確認してから作業をおこないます。
- 周辺環境に影響をあたえないよう、作業は二重テント内でおこなうなど、拡散防止措置を十分におこないます。また、あらゆるガスに対応できる除染装置を備え、正常な排気をおこないます。
経過
平成17年1月、高濃度のジフェニルアルシン酸が検出された地点の掘削をおこなったところ、深さ2メートルの位置からコンクリートが固まったような大きな塊(東西方向に10メートル、南北方向に8メートル、厚さ1メートル)が発見されました。
そのコンクリートの塊の様なものとその内部に点在する白い結晶の様な物質及びその周囲の土壌を分析したところ、白い結晶の様な物質から約10,000ppm,塊のサンプルから約600ppm,塊の周りの土壌からは最大で約1,000ppmの濃度のジフェニルアルシン酸(DPAA)を検出しました。なお、DPAA関連物質以外の毒ガス成分は検出されていません。
コンクリート様の塊の撤去中、内部に点在する赤色物と赤色物の入ったパイプ、ビン入りの白い粉を確認しました。赤色物から19,000ppm,白い粉から 14,000ppmの総ヒ素(暫定値)を検出しました。
また、塊の内部から1993年(平成5年)6月28日に製造された空き缶が確認されています。
その後、大きな塊のほかに堀削エリア内の西側と北側にもコンクリート様の塊が発見されています。これらの塊は撤去され、保管テントの中に収納されています。
汚染メカニズム解明のための調査中間報告書
環境省はこれまで汚染メカニズムの解明調査や汚染源の堀削調査を経て、平成17年6月29日に中間報告書をまとめました。
主なポイントについて
- コンクリート様の塊内のジフェニルアルシン酸は毒ガスの分析をしたものではなく、原料として製造されたものがコンクリートに混ぜられた可能性が高い。3つの塊の総量は約52トンで混入されたジフェニルアルシン酸の量は約180キログラムと推定される。
- 投入された時期は平成5年6月28日以降のいけすの埋め戻しに近い時期である可能性が高い。また投入者は特定できなかった。
- 神栖市内におけるジフェニルアルシン酸の存在を示す情報は得られなかった。またジフェニルアルシン酸が大量に製造された事例は旧軍にかかるもの以外に情報はなく、コンクリート様の塊内のジフェニルアルシン酸は旧軍に関連するものである可能性が高い。
- 今回掘り出されたコンクリート様の塊以外に別の汚染源が存在する可能性は完全に否定できないが、3つの塊が今回の汚染源で、塊から漏出したジフェニルアルシン酸が地下水流によりA井戸を汚染させ、さらに西方向に移動してB地区の汚染も引き起こされた可能性が高い。
報告書
報告書の詳細は環境省の「旧軍毒ガス弾等の対策について」をご参照ください。
汚染源の絞り込み調査(平成16年2月25日~3月23日)
調査目的
- A井戸周辺:A井戸から南東90メートルで高濃度のジフェニルアルシン酸がでた周辺での掘削範囲を決定するため。
- AB地区間:地区内の汚染状況と地下水の流れの把握。
- B地区:汚染源の絞り込み。
調査内容
- A井戸周辺:A井戸南東90メートル地点の周辺でを深さ10メートルのボーリングを67本実施。また、A井戸近傍10メートル付近でで不透水層までのボーリングを8本実施。
- AB地区間:不透水層までのボーリングを8本実施。
- B地区:地区内で最も高い濃度のボーリングを中心に半径50メートルの範囲で不透水層までのボーリングを9本実施。
調査結果
A井戸周辺
今回のボーリング範囲の南側の土壌から高い値が見られ、最大数値ではNo.123からのサンプルで1714ppmの値が検出された。
地下水の分析結果ではNo.109の深さ8メートルから129ppmの総ヒ素濃度が検出されたがA井戸とNo.83との中間に位置するボーリングからは深さ30メートルで0.18ppmの総ヒ素濃度という結果だった。(ジフェニルアルシン酸については分析中)
また、A井戸の10メートル付近のボーリングでは深さ30メートル付近から0.02~2.5ppmのジフェニルアルシン酸が、さらにA井戸の西側のボーリングでは25メートルより深い位置で4~7ppmの総ヒ素が検出された。
B地区について
前回掘削時に、最も濃度の高いボーリング地点No.54を中心とした50メートルの同心円の中心から北西方向に25メートル地点の深さ15メートルから0.47ppm,南東方向に25メートル地点の深さ30メートルから0.27ppmの総ヒ素が検出された。
AB間について
全体的な地下水位の勾配はAからBに向かってあり、地下水位の低い2地点を含む5か所のボーリングから、最大0.16ppm(ヒ素換算濃度)のジフェニルアルシン酸が検出された。
今回の地下水サンプル等の濃度表記については、一部ジフェニルアルシン酸の分析が終了していないため、総ヒ素濃度を併用して記載されています。
(総ヒ素濃度:ヒ素には無機ヒ素や様々な有機ヒ素があり、総ヒ素濃度とは水等に含まれている全てのヒ素の濃度を表したものです。今回の調査で分析対象になっているジフェニルアルシン酸は有機ヒ素の中の1種類です。)
第四期後半(平成15年12月16日~平成16年1月23日)
調査目的
- A井戸周辺の地下水の汚染範囲の把握と汚染源の更なる絞込み
- B地区の地下水の汚染範囲の把握と汚染源の絞り込み
調査内容
- A井戸周辺で6~18ppmのジフェニルアルシン酸が検出された3地点を中心に不透水層まで23か所のボーリング調査と既存観測井戸2本の再削孔。
- B地区でボーリングをおこなった地点を中心とした同心円上に不透水層まで11か所のボーリング調査。
- A~B地点の中間地点で2か所を不透水層までボーリング調査。
調査結果
- 水位測定により、非常に緩やかであるがAからBに向かう水の流れがあることが判明した。
- A井戸周辺でおこなったボーリングでは、A井戸から南東90メートルの位置でおこなったボーリングの深さ6メートルから32.9ppmのジフェニルアルシン酸が検出された。また、A井戸の周辺10メートルでおこなったボーリングの南西と南東の2か所からそれぞれ19.6ppm,13.3ppmのジフェニルアルシン酸が検出された。
- B地区のボーリングでは、前回検出された0.11ppmを超えるジフェニルアルシン酸は検出されなかったが、同心円の北側でおこなった5か所のボーリングで、深さ15メートルより深い位置のサンプルで0.001~0.024ppmのジフェニルアルシン酸が検出された。
- AB間でおこなったボーリングでは最大で0.06ppmのジフェニルアルシン酸が検出された。
(今回の濃度表示はヒ素換算濃度を使用)
第四期前半(平成15年10月20日~12月10日)
調査目的
A井戸周辺の地下水の汚染範囲の把握と汚染源の絞込み。
- A~B地区内の井戸水汚染範囲の把握
- B地区の深さ方向での汚染範囲の把握
調査内容
A井戸を中心とした同心円上に不透水層まで19か所のボーリング調査。
- B地区を中心にA地区を含めた区域内から109か所の井戸水採取と分析
- B地区の1か所を不透水層までボーリング調査
調査結果
- A井戸から南東及び南西に約10メートル、南東に約75メートル離れた計3か所の深さ10~25メートルの地下水から6~18ppmのジフェニルアルシン酸が検出された。
- 井戸水検査においては、地下水の汚染範囲が昨年3~5月に県が行った全数検査の結果と類似していたことから、地下水の汚染範囲は拡大していないことが推測される。
- B地区のボーリングでは、深さ25メートルの地下水サンプルから最大で0.11ppmのジフェニルアルシン酸が検出された。
第三期(平成15年9月16日~平成15年10月17日)
調査目的
汚染源の外縁の把握。
調査内容
A井戸から50~200メートル程度はなれた6か所で、不透水層のある30メートル以深までのボーリング調査と垂直磁気探査。
調査結果
A井戸から50メートル程度西側に離れた地点で20メートルより深いところから高濃度のジフェニルアルシン酸が検出された。
第二期(平成15年8月1日~平成15年9月12日)
調査目的
より深い部分を含め、A井戸近傍において汚染が立体的にどのように広がっているかの把握。
調査内容
A井戸周辺8か所(新規1か所)で、深さ20~35メートルまでのボーリング調査と垂直磁気探査。
調査結果
A井戸の北側では検出されなかった。
A井戸の近傍では深さ20メートル程度、南側では深さ30メートル程度で高濃度のジフェニルアルシン酸が検出された。
このことから、汚染が予想よりも深く、広い範囲に存在していると示唆。
第一期(平成15年5月29日~平成15年7月29日)
調査目的
A地区の汚染源の存在する可能性のある区域の絞込みと特定。
調査内容
A井戸を中心とする10メートル四方の範囲内25か所を深さ15メートルまでのボーリング調査と垂直磁気探査。
調査結果
土壌試料及び地下水からは低濃度のジフェニルアルシン酸しか検出されず、磁気探査においても鉄製埋設物は発見できなかった。
A井戸から連続採水したところ、はじめは検出されなかったが5立方メートル程度の採水後、高濃度のジフェニルアルシン酸を検出。
このことから、汚染源がA井戸近傍にあると示唆。
このページに関するお問い合わせ
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メール:kankyo@city.kamisu.ibaraki.jp
環境対策グループ 電話:0299-90-1146
環境管理グループ 電話:0299-90-1147
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