有機ヒ素汚染の発覚と経過

ページ番号1004458 掲載日 2019年8月27日 更新日 2019年9月20日

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平成15年3月17日に木崎地区に住む住民が、筑波大学付属病院の医師の書状をもって潮来保健所を訪れました。書状は飲用水の汚染の可能性があるため水の検査を依頼するもので、これにより住民の使用していた井戸(以下「A井戸」)の水質検査をおこなったところ、3月20日に環境基準(1リットルあたり0.01ミリグラム)の 450倍にあたるヒ素が検出されました。
これを受けて、県では「健康危機管理委員会」、町(当時)では「地下水汚染対策本部」を立ち上げ、井戸から半径500メートルの中の約340井戸を町(当時)職員120人を動員し、水質検査をおこないました。
さらに、同年4月3日にA井戸から西に約1キロメートルの地点の複数の井戸から環境基準の18~43倍にあたるヒ素が検出されたため、同様に半径500メートルの中の約400井戸を行政で水質検査することになり、町(当時)職員90人を動員し対象世帯への周知をおこないました。
また、4月7日には町長(当時)が県知事に対し「早急な原因究明と健康被害者への健康管理対策、医療費の支援など」を要望しました。

ジフェニルアルシン酸の検出

4月14日、A井戸の水から有機ヒ素化合物のジフェニルアルシン酸が検出されました。(マンガンは基準値以下、有機水銀およびシアンは不検出)
この有機化合物は旧日本軍が製造した毒ガスの成分が分解したものとみられ、戦時中の神栖市に旧日本軍の施設が存在していたこと、混成部隊が駐屯していたことなどから、旧日本軍との関連が強いものと推測されています。

県の水質検査

5月2日から6月14日、ジフェニルアルシン酸の検出により、高濃度のヒ素が検出された地点から半径約2キロメートルの範囲(神栖市に存在した旧日本軍施設の中央航空研究所の敷地にあたる)についてヒ素の有無を調べました。
検体2,461件のうち水質基準を超えたものが271件(1リットルあたり最高0.052ミリグラム)あり、このうち高い数値を示した井戸水の再検査をおこないましたが、それらの水からはジフェニルアルシン酸は検出されませんでした。(茨城県の井戸水検査の結果)

市施設の飲用水について

市施設で井戸水を使用する施設の水質検査をおこないました。児童公園では基準を超えた施設はありませんでしたが、随時上水道に切り替えています。
小中学校で使用するプール用井戸で飲用水の基準を超えた施設がありましたが、利用開始前に上水道に切り替えられました。
また、AB地区に近い大野原小学校のプール用井戸からジフェニルアルシン酸が検出されたため、在校児童の健康調査をおこないましたが、プール利用者に集団での健康影響は認められませんでした。

環境省の調査

健康被害者の訴えや、各政党の国会議員団の調査、さらに県及び町(当時)から国への要望等がなされるなかで、平成15年5月29日にA井戸の周辺からレーダー探査やボーリング調査が開始されました。
現在環境省では、この問題に対応するため2つの検討会を設け、それぞれ汚染源調査については「国内における毒ガス弾等に関する総合調査検討会」で、健康影響調査については「ジフェニルアルシン酸に係る健康影響等についての臨床検討会」での検討結果により調査を進めています。

汚染源調査

ボーリングの数を増やしながらB地区のボーリング調査にも着手、汚染源の絞り込みをおこなっています。平成16年2月までに行なってきた調査の中で、A井戸周辺に汚染程度の高い3本のボーリング箇所が有り、さらに詳細なボーリングをおこなったところ汚染源の存在が示唆されました。
最も汚染濃度が濃かった部分を掘削したところ、深さ約2メートル地点からコンクリートの塊の様なものが発見されました。(この塊の大きさは東西方向に10メートル、南北方向に8メートル、厚さが1メートル。)
そのコンクリートの塊の様なものとその内部に点在する白い結晶の様な物質及びその周囲の土壌を分析したところ、白い結晶の様な物質から約10,000ppm,塊のサンプルから約600ppm,塊の周りの土壌からは最大で約1,000ppmの濃度のジフェニルアルシン酸(DPAA)を検出しました。
なお、DPAA関連物質以外の毒ガス成分は検出されませんでした。

その後の調査でA井戸周辺には汚染源なく、コンクリート様の塊が全体の汚染源であることがわかりました。

健康影響に関する調査

健康被害者へは医療手帳の交付などにより健康影響調査やジフェニルアルシン酸に起因する疾病等の治療に要する医療費の支援制度を整備しました。

ジフェニルアルシン酸の健康に与える影響等が解明されないなかで、総ヒ素が環境基準を超えていない水からもジフェニルアルシン酸が検出され、汚染の存在する区域(AB地区A井戸及びB地区で最も高いヒ素濃度の井戸から半径500メートルの区域周辺及びその南西域)に地下水の飲用を自粛するよう勧告されました。
また、ラットの実験結果により経皮吸収のあることが判明し、健康に与える影響は低いとされるものの、「ジフェニルアルシン酸の検出された地下水を風呂等に使用することを可能な限り控えることが望ましい。」との知見が示されました。

毒ガス弾情報の収集

旧日本軍の毒ガス弾などに関する情報を広く集めることにより、毒ガス弾による被害の未然防止策を実施していくことになりました。当初関連が取りざたされた終戦前後の駐屯部隊や施設と有機ヒ素との関係は有力な追加情報もなく、コンクリート様の塊の内部にあった空き缶などからDPAAそのものが近年になって埋められたと考えられています。
また、DPAAが大量に製造された記録もないことから、このDPAAは旧日本軍が製造したものとみられていますが、どのような経路で神栖市に遺棄されるに至ったかは判明しておりません。

市の対応

汚染発覚後には職員を動員して半径500メートルの各世帯にチラシの配布をおこなったり、仮設給水所の設置などをおこないました。また、原因究明と被害者の支援のために県知事や国(環境省、厚生労働省)に要望をおこなったり、調査に訪れた各政党調査団に対しても機会あるごとに協力をお願いしました。
また、ヒ素などの除去に有効な浄水器の設置費用の補助制度を創設したり、地下水汚染対策室を設けて、国・県と連携しながらこの問題に取り組んでいます。

平成16年5月26日に開催された「ジフェニルアルシン酸に係る健康影響等についての臨床検討会」でジフェニルアルシン酸の経皮吸収が確認されたことにより、現在ジフェニルアルシン酸が検出された地下水を入浴に使用している世帯の希望者に対し、市営の入浴施設の無料開放をおこないました。

市では環境省のモニタリングとは別に、汚染源に近い亀の甲団地地区と汚染を含む地下水が向かっていると見られる息栖地区内にモニタリング井戸を設置しました。

このモニタリングでは定期的にヒ素濃度などを測定し汚染状況などの把握に努めていきます。

このページに関するお問い合わせ

生活環境部 環境課
〒314-0192 茨城県神栖市溝口4991-5 本庁舎1階
電話:0299-90-1146 FAX:0299-90-1031
メール:kankyo@city.kamisu.ibaraki.jp

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