令和6年第1回市議会定例会・市政運営の所信

ページ番号1011580 掲載日 2024年3月22日

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  1. はじめに
  2. 最近の社会経済情勢
  3. 市政に対する基本的な考え方と主な施策
    • (1)市政運営の基本方針
    • (2)令和6年度当初予算案と主な施策
      • 1.医療・健康福祉
      • 2.生活環境
      • 3.産業
      • 4.都市基盤
      • 5.教育・文化
      • 6.地域づくり
      • 7.自治体運営
  4. おわりに

市長所信表明

1.はじめに

令和6年第1回神栖市議会定例会の開会にあたり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、市政運営に関する所信の一端を申し上げます。

はじめに、2024年1月1日に発生した能登半島地震において、犠牲となられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。本市といたしましては、石川県能登町へ5人、志賀町へ2人、輪島市へ1人の職員を派遣し、罹災証明書の申請受付や家屋の被害認定調査、避難所等における住民の健康支援業務、給水車による応急給水活動などをおこなってまいりました。今後におきましても、被災地のニーズに応じた支援を可能な限りおこなってまいります。

2.最近の社会経済情勢

次に、最近の社会経済情勢についてであります。

我が国の経済につきましては、コロナ禍の3年間を乗り越え改善しつつあり、30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、前向きな動きがみられ、デフレから脱却し、新たなステージへと移行するチャンスを迎えております。他方、急激な物価上昇に賃金の上昇が追い付いておらず、個人消費や設備投資は依然として力強さを欠くことから、再びデフレに戻るリスクを抱えている状態にあります。
このような状況の中、国は、社会の構造的な変化に伴う課題への対応や、経済の明るい兆しを好循環につなげる「物価に負けない賃上げ」の実現を図るため、過去2番目の規模となる112兆5,717億円の令和6年度当初予算案をとりまとめております。

また、茨城県では、加速度的に進む人口減少などに伴う様々な困難を乗り越えられる「新しい茨城」づくりに挑戦するため、令和5年度と比べ3.2%の減ではありますが、1兆2,511億9,000万円の令和6年度当初予算案をとりまとめております。

3.市政に対する基本的な考え方と主な施策

(1) 市政運営の基本方針

次に、市政運営の基本方針について申し上げます。

令和6年度の行政組織といたしましては、全てのこどもや妊産婦、子育て家庭を対象に、一体的に支援をおこなうため、「子ども家庭総合支援拠点」と、「子育て世代包括支援センター」を統合し、新たに「こども家庭センター」を設置いたします。そのため、こども福祉課及び子育て支援課を再編し、新たに、こども計画や少子化対策、保育などを所管する「こども政策課」と、こども家庭センター業務などを所管する「こども家庭課」を設置いたします。

令和6年度は、第3次神栖市総合計画の2年度目となります。厳しい財政状況においても、創意工夫による歳入確保及び歳出全般にわたる見直しを全庁一丸となって進め、将来にわたり持続可能な財政基盤の確立を図りながら、魅力ある・誇れる神栖市の実現に向け、各事業を推進してまいります。

(2) 令和6年度当初予算案と主な施策

次に、令和6年度の当初予算案について申し上げます。

まず、令和6年度の財源見通しであります。

歳入の根幹をなす市税につきましては、コロナ禍からの脱却に伴う社会経済活動の正常化により一定程度の税収は見込めるものの、今後の不透明な景気動向を踏まえると増収を見込むことは難しい状況であり、令和5年度当初予算に比べ、2.1%、4億6千万円減の210億6千万円を見込んでおります。

また、地方交付税につきましては、震災復興特別交付税の減により、令和5年度当初予算に比べ、35.6%、6億5千万円減の11億8千万円の見込みとなりますことから、歳入は依然として厳しい状況が続いているものであります。

市債につきましては、一般会計、水道事業会計、下水道事業会計を合わせて35億2千万円の発行を見込んでおり、財政調整基金繰入金につきましては、39億3千万円を見込んでおります。

一方、歳出につきましては、従来から取り組んできた地域医療体制の整備や人口減少、少子高齢化、安全・安心なまちづくり等の課題に加え、社会情勢の変化に対応するための取り組みを併せて進めるとともに、地域の活力を向上させるため、恵まれた雇用環境や充実した子育て支援といった長所を伸ばすほか、全国的な知名度の向上等の施策に優先的に配分するとともに、事業全般にわたり経費の節減・合理化に取り組みながら予算編成をおこないました。
この結果、令和6年度の一般会計は、令和5年度当初予算と比べ、2.6%、12億円減の447億2千万円となったところであります。

また、特別会計は、3会計で、令和5年度当初予算と比べ、0.8%、1億4千万円増の、171億1千万円、公営企業会計は、2会計で、4.6%、3億9千万円減の80億4千万円であります。

次に、令和6年度の主な施策について、第3次総合計画に掲げる7つの施策の大綱に基づいてご説明いたします。

1.医療・健康福祉

第1に、医療・健康福祉についてであります。

医療特別対策事業につきましては、白十字総合病院の総合診療体制の整備を推進しており、2023年12月に、白十字総合病院と当市の連名により、東京女子医科大学総合診療・総合内科学分野に対し、白十字総合病院を教育研修フィールドとする寄附講座の設置を要請いたしました。今後は、令和6年度中の寄附講座の開始を目指して協議を継続してまいります。

医師確保につきましては、白十字総合病院において産婦人科医師の増員が図られたほか、令和6年度には、鹿嶋ハートクリニック、産業医トレーニングセンターへの新規就業が予定されております。また、当市の修学資金をご活用いただいた医師の初めての就業も予定されております。

医療機能の分化・連携再構築整備支援事業につきましては、市が助成をおこなっている白十字総合病院の回復期・慢性期病棟の建替整備事業が令和6年度中に完了しますことから、今後は304床のフルオープンが実現できるよう支援してまいります。

また、鹿嶋ハートクリニックにつきましても、令和6年度中に、23床の病院として新たなスタートを予定しております。循環器疾患の救急受入体制の強化が期待されますので、今後も、施設整備や体制整備に対する継続した支援を講じてまいります。

子育て支援事業及び出産育児支援事業につきましては、子育て世代への経済的支援を図るため、「子育て応援券」と「子育て応援ギフトカタログ」事業を継続し、安心して妊娠・出産・子育てができるよう、取り組んでまいります。

母子保健事業につきましては、妊娠期から乳児期にかかる健康診査の費用助成をおこなっておりますが、新たに双子などの多胎の妊婦に対して、妊婦健康診査にかかる費用を追加で助成いたします。また、産後ケアを利用しやすくするために、利用料金の引き下げをおこないます。さらに、県内の里帰り先でも利用できる居宅訪問型のサービスを新たに開始いたします。

健康増進事業につきましては、当市独自の制度であります、がん検診の無料化や、若年世代・働き世代の住民健診無料化、さらには市民の皆様の健康づくりを応援する「かみす健康マイレージ」などを引き続き実施し、健康寿命の延伸を図ってまいります。
また、令和6年度は、地域において、減塩・適塩に関する調理実習や講話をおこなっている地域食育サポーターを新たに養成し、高血圧予防に向けた活動をより推進してまいります。

認知症総合支援事業につきましては、認知症の容態に応じた適切な医療と介護の提供、認知症の正しい理解の普及、認知症高齢者の見守り事業など、認知症施策を総合的に展開し、支援体制を強化してまいります。
令和6年度は、認知症の初期対応の重要性が理解できるよう、認知症初期集中支援チームの設置意義や活動内容を広く周知するとともに、認知症施策の拡大を図ります。
また、認知症の本人やその家族の意見を施策に反映できる取り組みを検討してまいります。

権利擁護事業につきましては、高齢者虐待防止及び対応に係る必要な体制の整備や連携の強化を図るとともに、成年後見制度や日常生活自立支援事業の活用促進など、権利擁護のために必要な取り組みを推進してまいります。
令和6年度は、成年後見制度に関して権利擁護支援の中核機関を設置し、申立てに関する相談等を受付け、制度利用の促進や支援に努めてまいります。

生活困窮者自立支援事業につきましては、相談対応のほか、生活困窮の状況や原因に応じた、就労準備支援・家計改善支援・住居確保給付金・一時生活支援の実施により、引き続き、生活困窮者の自立した生活に向けた支援に努めてまいります。

2.生活環境

第2に、生活環境についてであります。

災害対策につきましては、神栖市国土強靱化地域計画及び神栖市津波防災地域づくり推進計画に基づき、舎利浜地区において津波避難施設の整備に向けて取り組んでまいります。 また、地域の防災力強化を図るため、神栖市防災士協議会とともに、自主防災組織の結成促進や活性化を図っていくとともに、各コミュニティ協議会との連携を図ってまいります。

新可燃ごみ処理施設整備事業につきましては、2023年10月に施設の名称を「鹿島共同可燃ごみクリーンセンター」と決定し、2024年4月1日から本稼働いたします。
本稼働に伴い、ごみの分別が一部変更となるほか、神栖地域では、可燃ごみの搬入先が本施設となります。また、波崎地域では、集積所からペットボトルやビン・缶などの資源物の収集が始まりますことから、引き続き、市民への周知に努めてまいります。

地球温暖化対策推進事業につきましては、「神栖市環境基本計画」に基づき、脱炭素化社会を実現するため、クリーンエネルギーの普及・促進を支援し、電気自動車及び電気自動車用充電設備や蓄電システム等の導入の補助を実施するなど、温室効果ガスの排出抑制に努めてまいります。

3.産業

第3に、産業についてであります。

スポーツツーリズムの推進につきましては、令和6年度も引き続き、スポーツツーリズム関連イベントなどにおいてPRをおこないながら、各種競技大会やインバウンドを含めた合宿の誘致に積極的に取り組み、スポーツ合宿地としての認知度向上を目指してまいります。

観光振興事業につきましては、海水浴場への誘客促進を図るため、ラジオによるプロモーションをおこなうとともに、子どもから大人まで誰でも気軽に参加できるビーチイベントを開催するほか、海水浴場開設期間中に砂浜でのイベント開催や海の家の出店などをおこなう事業者に対する補助を実施してまいります。

また、フィルムコミッション事業につきましては、映画やドラマ、ミュージックビデオ等の撮影を誘致し、撮影場所やロケ実績を積極的にPRすることで、市の新たな魅力の発掘と知名度向上に取り組んでまいります。

農業振興事業につきましては、将来において農業を維持・発展させるため、新規就農者等に対し、農業用機械の取得や農業用パイプハウスの導入、農地の再生作業に係る費用の一部を支援してまいります。また、補助対象者に、新たに中高年の新規就農者を加え、より幅広い世代が農業に参入できるよう支援してまいります。
さらに、魅力ある産地づくりを推進するため、意欲ある生産者による、農産物の新品種の導入や販路開拓、更には6次産業化等への取り組みに対する市独自の支援や出荷量日本一であるピーマンのブランド力強化、日本一のシェアを誇る千両・若松など、神栖市産農産物のPRにも取り組んでまいります。

園芸振興事業につきましては、農業用資材の価格や肥料価格の高騰など、農業を取り巻く厳しい環境が続く中、農業者の負担軽減を図るため、新たに農業用ハウスのビニール張り替えに使用する被覆資材等の購入費用の一部を支援してまいります。
また、燃油価格の高騰対策として、価格が一定以上高騰した場合に補填金が受けられる「施設園芸セーフティネット構築事業」の積立金の一部を支援し、引き続き同事業への加入促進を図ってまいります。

水産業振興事業につきましては、全国有数の漁獲量、県内最大の水産加工品生産量を誇る神栖市の水産物を、より多くの方々に知っていただけるよう、水産団体と協力しながら情報発信に取り組んでまいります。

波崎漁港の整備につきましては、漁港拡張部後背地の造成、分譲が進み、水産加工場の建設が始まっております。引き続き、茨城県及び水産団体等と連携を図り、自港への水揚げの増進及び市場機能の高度化により、漁港を核とした生産流通加工の拠点形成を目指します。
内水面漁業では、利根川産ヤマトシジミの資源再生へ向け、種苗の生産、成貝の育成等、安定生産のための支援を継続してまいります。

4.都市基盤

第4に、都市基盤についてであります。

公共下水道整備事業につきましては、木崎や神栖、平泉東において、短時間の大雨などで発生していた道路冠水や浸水被害の軽減を図るため、平成25年度より進めていた北公共埠頭1号雨水幹線の整備を令和6年度早々に完了させ、供用を開始する予定であります。

排水路維持管理事業につきましては、浸水対策のため雨水排水施設の整備に努め、また既設の排水路の機能を維持するため、雨水排水施設の改修や、清掃及び除草等をおこなってまいります。
また、浸水被害対策として、令和2年度から排水施設の整備を進めておりました須田団地地区におきましては、令和6年度に整備が完了する予定であります。

市営住宅建替事業につきましては、鉄筋コンクリート造り3階建て50戸の住宅を波崎東部地域の日の出町地区に建築中であります。波崎地区における住宅に困窮する低所得者の方々への住宅供給は、長年の懸案でありました。早期の供給を開始するため、工期であります本年10月の完成を目指してまいります。

波崎東明神周辺地区の住環境整備事業につきましては、防災性と利便性の高い住環境を目指し、消防困難区域や接道不良敷地を解消するため整備を進めているところでございます。
これまでに5路線865メートルの道路整備と、公園2か所、ポケットパーク2か所を整備したところであり、令和6年度は、市道1450号線の新設工事と市道1015号線の拡幅工事に伴う斜面の擁壁工事を予定しております。

5.教育・文化

第5に、教育・文化についてであります。

小・中学校の給食費無償化事業につきましては、コロナ禍や不安定な国際情勢などに起因する物価高騰が依然として続いていることから、保護者の経済的負担を軽減するため、令和2年度から引き続き、5年目となる令和6年度も実施してまいります。

第一学校給食共同調理場整備事業につきましては、令和5年度に策定しました基本計画をもとに、令和6年度から新たな給食施設の整備に向けた基本設計・実施設計を進めてまいります。

学力向上推進事業につきましては、市独自の少人数学級編制を実施するとともに、小学校に学習指導補助員、中学校に学習指導補助教員を配置するほか、市内全校に図書館指導補助員を配置して読書活動の推進にあたるなど、基礎学力の定着を図るため、個に応じたきめ細かな学習指導をおこなってまいります。また、市独自の「全国学力・学習状況調査結果検討委員会」を設置し、児童生徒の学習状況を把握・分析し、授業改善を図ることで、学力向上を推進してまいります。

児童生徒の外国語教育につきましては、外国語指導助手を市内全校に配置するとともに、ブリティッシュヒルズ英語研修、イングリッシュ・キャンプの実施など、引き続き児童生徒の国際感覚の育成及び英語力向上を図ってまいります。
さらに、児童生徒が将来、社会人・職業人として自立していけるよう、教育の柱にキャリア教育を据え、「キャリフェス神栖」等の取り組みを通じて、学ぶ意義や働くことの大切さに気づく機会をつくってまいります。

6.地域づくり

第6に、地域づくりについてであります。

まちのにぎわいづくり事業につきましては、息栖神社や神之池緑地、波崎東部地域の魅力を向上させ、市内外から多くの方に訪れていただくことにより、定住人口及び交流人口の拡大による地域の活性化を図ってまいります。

息栖神社周辺整備につきましては、情報発信、物販、飲食スペースを備えた拠点施設の建設をおこなうとともに、駐車場の舗装整備工事、石畳風の市道整備工事などを実施してまいります。また、神之池緑地につきましては、桜を主とした樹木の植栽配置計画を策定し、2024年5月には、市民が桜などの樹木の維持管理に参加できる桜守隊が正式に発足いたします。引き続き、市民と連携しながら、神之池緑地の魅力向上に向け取り組んでまいります。

波崎東部地域につきましては、市営住宅建替に伴い発生する用地の活用基本計画及び実施方針を策定してまいります。

コミュニティセンター管理運営事業につきましては、地域のまちづくり及び生涯学習の拠点だけではなく、自主避難所としての機能強化を図る観点から、引き続き、大野原コミュニティセンターの外壁等の改修をおこない、うずもコミュニティセンターでは、多目的ホールに冷房機能を備えた空調設備を設置いたします。

地区活動支援事業につきましては、転入者が多く来庁する時期に、地区への加入促進ブースを本庁舎1階に設置し、地区の重要性や取り組みを紹介をするほか、ハウスメーカーなどと連携し、物件の新規契約時に「地区加入案内チラシ」を配布するなど、加入を促す仕組みの導入について検討してまいります。
また、長年の課題となっている地区未設定区域である、土合本町における地区の設立についても、実現に向け、引き続き検討を進めてまいります。

民間住宅助成事業につきましては、令和2年度より実施している「かみす子育て住まいる給付金」を引き続き実施し、子育て世帯等の住宅取得による移住と定住を促進させ、人口の増加や地域の活性化を図り、良好な住環境の向上を図ってまいります。

7.自治体運営

第7に、自治体運営についてであります。

広報戦略事業につきましては、引き続き、市の様々な魅力を、多様な媒体を活用し、多角的に発信してまいります。
また、令和6年度は、神栖市PR大使のお笑い芸人・オスペンギンとのコラボレーション企画を実施し、市の知名度向上を図ってまいります。

電子自治体推進事業につきましては、マイナンバーカードを活用した行政手続のオンライン化を更に拡大していくとともに、オンラインで行える窓口受付等の予約や手続きガイドの導入など、窓口サービスの利便性向上を図ってまいります。また、スマートフォン講座の開催数を拡大し、デジタル機器に不慣れな高齢者の方々の不安解消に努めてまいります。

4.おわりに

以上で説明は終わりますが、今後とも、魅力ある誇れる神栖市を目指すとともに、市民の安全・安心の確保と神栖市のさらなる発展に向け、全力で市政運営に取り組んでまいりますので、議員各位並びに市民の皆様のご理解ご協力をお願い申し上げます。

このページに関するお問い合わせ

市長公室 秘書課
〒314-0192 茨城県神栖市溝口4991-5 本庁舎3階
電話:0299-90-1121 FAX:0299-90-1112
メール:hisho@city.kamisu.ibaraki.jp

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